相続放棄をするケースはさまざまです。
- 続する財産より借金の方が多そうで、相続したくない
- 財産と借金の差がよく分からない
- 親が亡くなったが、多額の借金がある
- 亡くなった親の借金の督促が届いた
- 親の住宅ローンをどうしたらいいか相談したい
- 亡くなった親が借金の連帯保証人になっていた
このようなご相談が多いのですが、プラスの財産があっても相続放棄をされる方もいらっしゃいますし、借金があっても相続放棄をされない方もいらっしゃいます。それぞれのご事情で、相続放棄のケースはさまざまです。
今回は、相続放棄をすることが多いというケースをご紹介いたします。
相続放棄をすることが多いケース
被相続人に多額の借金があるケース
プラスの財産よりも借金などのマイナスの財産が多いことが明確である場合に、相続放棄をされるケースが多いです。また、判明している範囲ではプラスの財産の方が多いが、さらに調査を進めることでマイナスの財産が多くなる可能性が高いと思われる場合は相続放棄をされるケースが多いです。
その時点でプラスの財産が多いと思っていても、後からマイナスの財産が出てきては、取り返しのつかないことになってしまう恐れもありますので、十分に身辺を確認する必要があります。
被相続人が保証人・連帯保証人であるケース
被相続人が保証人や連帯保証人になっている場合、その立場も相続されます。債務者が借金の返済ができなくなったとき、返済義務が保証人や連帯保証人の相続人に生じるということです。
この保証人という立場は、実際に明るみに出ず、被相続人が保証人になっていた事実や相続人が保証人という立場を相続している事実を知らないことも多く、身辺をよく確認しておかなければなりません。多くの場合、保証内容を確認して相続放棄をされています。
相続財産を特定の人などに相続をさせたいケース
特定の相続人に相続財産をすべて相続させたいというご相談もあります。相続人が複数ある場合は、通常の手続きよりも相続放棄をすることで、手続きに関わる手間や時間、費用を軽減できる場合もあります。
相続人と疎遠であるケース
遠い繋がりや疎遠である関係から、相続放棄をされるケースもあります。不仲であるため、あまりかかわりを持ちたくないので相続放棄をしたい、というご相談もあります。このような理由でも相続放棄は可能です。相続人ではなかったとみなされますので、遺産分割協議に参加する必要がなくなります。
相続問題を避けるケース
相続問題に巻き込まれたくないという理由から相続放棄をされるケースもあります。特に親族などが多く、相続財産の分配での揉め事を避けるために相続放棄を選択したいというご相談もあります。相続人ではなかったとみなされますので、遺産分割協議に参加する必要がなくなります。
後々発覚する借金の不安を考慮するケース
被相続人に財産がないという場合も、念のために相続放棄をするケースもあります。プラスの財産がないために、そのまま自然と相続人となっていたら、後から借金の存在が判明し、結果マイナスの財産が手元に残るということを懸念し、相続放棄をしておきたいというケースです。プラスの財産がなく、相続を承継しても放棄しても何も変わらないという場合は、相続放棄をしておくことが有効という例です。
相続放棄によって相続人がいなくなったらどうなる?
相続人全員が相続放棄をしたために、相続人が誰一人存在しない状態になった場合はどうなるでしょうか。
相続人が誰もいなくなった財産は、相続財産法人として法人化されると第951条で規定されています。
第951条 相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。
相続財産法人は相続財産や権利義務の帰属主体となる存在で、登記などの手続きは不要で自動的に法人化されます。法人化されたマイナスの財産は、債権者が相続財産法人に返済を請求をするということではありません。相続財産を持つ法人というより、相続財産そのものが法人だという考え方がわかりやすいかもしれません。
そして、家庭裁判所は相続財産管理人を選任します。相続財産管理人の多くは弁護士が選任されます。相続財産管理人は、本当に相続人がいないかを調査し、相続財産の代理人として精算手続きを行います。そこでもし財産が残った場合は国庫に帰属することになります。